1.はじめに
「裁判員制度」という言葉をみなさん一度は聞いたことがあるかと思います。
裁判員制度は、平成21年に開始し、今年で15年が経ちました。
今回は、裁判員裁判について、対象になる事件や裁判員選任の手続について簡単にお話しできればと思います。
2.裁判員制度とは
裁判員制度とは、国民のなかから選ばれた裁判員6名が刑事裁判に参加し、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度です。
3.対象事件
裁判員裁判の対象になる事件は、①死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に係る事件②法定合議事件(死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪(強盗等を除く。))であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係る事件と定められています(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項)。殺人罪や強盗致傷罪、現住建造物等放火罪など人に重大な結果をもたらした事件のイメージがあるかもしれませんが、他にも覚醒剤取締法違反(営利目的の密輸入)も対象になります。
4.裁判員として選ばれる人
裁判員は、衆議院議員の選挙人名簿に登録された有権者のなかから選ばれます。成人年齢が引き下げられたため、18歳、19歳も対象になりました。
5.裁判員選任の流れ
(1)裁判員候補者名簿に記載される通知
各地方裁判所は、毎年10月から11月頃、管内の市町村の選挙管理委員会がくじで選んで作成した名簿に基づいて翌年の裁判員候補者名簿を作成します。
裁判員候補者名簿に載った方には、11月頃に名簿に登録されたことを知らせる通知書が来ます。
この際には、就職禁止事由や客観的な辞退事由に該当しているかどうかなどをたずねる調査票が同封されますので、該当する事由がある場合のみ返送します。
(2)裁判員候補者の選定、選任手続期日のお知らせ・質問票の送付
裁判の6~8週間前に、裁判員候補者名簿のなかからくじで選ばれた裁判員候補者に対し、裁判員選任手続期日の日時の通知が届きます。
その際に質問状も送られ、裁判員の欠格事由の有無や辞退を希望するかどうかを確認します。辞退する事由としては、住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり、裁判所に行くことが困難であることや、仕事における重要な用務があって、自らがこれを処理しなければ著しい損害が生じるおそれがあることがあげられます。
(3)裁判員選任手続
当日は、裁判長が、裁判員候補者に対し、不公平な裁判をするおそれの有無や辞退希望の有無・理由などについて質問をします。(この手続は非公開となっています。)
そして、裁判員候補者のなかで無作為にくじ引きが行われ、裁判員と補充裁判員が決まります。
6.最後に
簡単にではありますが、裁判員裁判について紹介させていただきました。
裁判員に選任される可能性は、全国で1年あたりだと約0.01%程度とのことですが、令和5年の時点で約12万人の国民が裁判員(補充裁判員も含む)を務めたそうです。
確率は高くはありませんが、裁判員候補者名簿に記載された通知が来た際には参考になれば幸いです。