「無料で求人広告を出せる」という甘い言葉に誘われ、あとで高額な請求書が届く―。こんな悪質な手口によるトラブルが後を絶ちません。今回は、このようなケースに巻き込まれてしまった場合の対処法についてご説明します。
なぜ「無料」の求人広告が危険なの?
「無料」という言葉を前面に押し出し、契約内容を細かく説明しないまま、契約を結ばせるケースが後を絶ちません。このような行為は、契約内容について誤認させ、不当な利益を得ようとする「詐欺」に該当する可能性があります。
よくある手口とその対策
- 無料期間後に高額請求: 無料期間中に解約しようとしても、電話がつながらない、FAXが送れないなど、解約を妨害する行為が行われることがあります。
- 契約内容を隠す: 契約書に小さな字で「自動的に有料掲載に移行する」といった重要な条件が記載されていることがあります。
- しつこい督促: 支払いを拒否すると、執拗に督促の電話がかかってきたり、内容証明郵便が届いたりすることがあります。
払わなくてもいいの?
「無料」と強調しておきながら、契約書に小さな字で「自動的に有料掲載に移行する」と記載されているケースがほとんどです。これは、契約内容をきちんと説明していない、つまり「だましている」と言える行為にあたります。法律上、このような場合は錯誤(民法第95条1項)、詐欺(民法第96条1項)による取消しまたは公序良俗違反(民法第90条)による無効を主張することができ、請求された広告代金を支払う必要はありません。
請求書が届いたらどうすれば?
- 無視する:一番簡単な方法ですが、相手によってはしつこく連絡をしてくる可能性があります。
- 内容証明郵便を送付する:弁護士に依頼し、「契約は無効である」「広告代金は払わない」旨を記載した内容証明郵便を送付します。これが最も効果的な方法です。
- 弁護士に相談する:自分で対応するのが難しい場合は、弁護士に相談しましょう。
訴えられたらどうすれば?
訴えられる可能性は低いですが、万が一訴えられたとしても、契約が無効であることを主張すれば勝訴できる可能性が高いです。
もし支払ってしまった場合は?
訴訟をすれば勝訴できる可能性は高いです。ただし、このやり方の巧妙なところは、一つ一つの金額自体はそれほど高額ではないところです。基本的には1件あたりは20万円以下であることが多いので、例えば弁護士に依頼して訴訟提起するとなると、結局は赤字になってしまう可能性が高いです。したがって、自動更新を繰り返して請求額が高額になっている場合を除き、1回分だけ有料掲載の代金を支払っただけであれば、弁護士費用を考慮して結局はあきらめざるを得なくなると思います。とにかく払わないことが大事です。
まとめ
求人広告代金請求トラブルに巻き込まれないためには、まず「無料」という言葉に安易に飛びつかないことが大切です。もし、このようなトラブルに巻き込まれてしまったら、慌てず弁護士に相談しましょう。