コラム

Column

はじめての産学連携

皆さんは、「産学連携」という言葉を聞いたことはありますか。または、自社の課題を大学等研究機関に相談して、解決策を探したいと思ったことはありますか。今回は産学連携はじめの一歩として、皆さんに産学連携の基本をご説明させていただきます。

1.産学連携とは?

「産」= 産業界(企業・会社など)と「学」= 学術界(大学や専門学校、研究機関など)が、お互いに協力し合い、新しい技術や製品、サービスを生み出したり、社会の課題を解決したりすることを言います。時には、政府や地方公共団体などの「官」や金融機関などの「金」が加わって、「産学官金連携」となることもあります。

 

2.産学連携の目的と効果

産学連携の目的と効果は多岐にわたりますが、今回は「研究推進」にフォーカスしてご説明いたします。

・企業
大学等研究機関の持つ専門的な知識や研究成果をもとに助言いただきながら、自社だけではできない画期的な研究開発ができる。

・大学(研究機関)
研究リソース(人、設備・実証フィールド、研究資金など)の協力を企業に得ながら研究を推進することができ、自身の研究成果を通して社会貢献できる。

 

3.大学等研究機関に相談するには?

大学等研究機関に相談しながら、自社の課題を解決したいという担当者の皆さまは各大学等研究機関の「技術相談」に申請することをお勧めします。例えば、当方がコーディネーターをしている長岡高専では、企業が長岡高専の教員へ無償でご相談いただける機会を設けています。「技術相談シート」と呼ばれる申請書に貴社の課題を記入いただき、担当課へご提出いただくと、該当する教員とのマッチング・面談機会を設けさせていただきます。あらかじめ、担当教員を指名してご相談することも可能です。

▷長岡高専 技術相談の詳細

技術相談

※他の学校も同様な機会を設けているため、まずは「○○大学 技術相談」などと検索してみることをお勧めいたします。

 

4.県内における産学連携事例

・事例「金属部品の外観検査を自動化するAIシステムの開発」
長岡高専電子制御工学科 × Jマテ.カッパープロダクツ株式会社

Jマテ.カッパープロダクツ株式会社では、製造した製品に傷や規格のずれがないかを確認する外観検査は目視で行っており、時間や手間がかかるため、製造現場では自動化が求められています。 そこで、共同研究では人に代わって製品の外観検査を行うAIシステム、通称“JIN”(Jマテ Visual Inspector by Nagaoka KOSEN)を開発し、製造現場における省人化・活人化を推し進めることを目的としています。JINは違和感判断AIと異常位置検知AIの2つを搭載予定であり、これらの土台となるAIシステムの開発および効果検証を行っています。 特定の部品を対象とした実験の結果、人間と同等程度以上の精度で検査を行うことができました。 現在、データを増やしたりモデルを高度化したりすることで、複数の部品を検査できる汎用性と精度を高め、運用に耐えうる性能を持ったシステムに仕上げるために研究を続けています。また、Jマテ.カッパープロダクツ様は本共同研究を核として上越市の中核企業成長促進モデル支援事業補助金に申請し、見事に採択されています。これによって、産学官連携の共同研究として注目を集めています。

<企業様からのコメント>
「JIN」は金属加工の現場で人間がやっている外観検査をAIに置き換えるための基幹システムです。AIの世界は発展スピードが速く毎日新たな製品が生み出されています。長岡高専様と共同研究させて頂く事で我々のような中小規模の企業でも常に新しいアイデアにふれる事ができます。そして現場ニーズにあう現場が真に欲しいと思えるシステムの開発に繋げる事ができ感謝しております。

▷上記事例の詳細は下記P. 85~
https://www.nagaoka-ct.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2024/12/【WEB掲載用】冊子版2024教員プロフィール集-_修正版2024.12.2.pdf

▷メディア掲載
https://www.jcp.joemate.co.jp/r-20250311/

 

5.まとめ

多くの企業が日々世の中の課題解決に向けて、様々なサービス開発に取り組まれています。ぜひ今後自社で困難な研究・課題が生まれた際には、新しい相談・連携の切り口として「産学連携」という手段を思い出していただけたらと思います。相談に適した大学等教育機関・研究者探しや、研究のための補助金申請など、サポートが可能です。いつでもお声掛けくださいませ。

執筆スペシャリスト

大澤 容佳
グローカルマーケティング株式会社
大澤 容佳
2021年から産学連携推進室を立ち上げ、「大学・高専等の教育研究機関と企業のマッチングを通した共同研究等による課題解決支援」や「自治体や地域企業と連携した小/中/高校の探究学習の企画・運営支援」に取り組んでいます。貴社の課題を一度ヒアリングさせていただき、必要な教育研究機関とお繋ぎします。ぜひ一度ご相談ください。
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