コラム

Column

中小企業の株主総会

会社の決算締日は3月末が一番多い。そして締日から3カ月以内に株主総会を開くことになっているので5〜6月が株主総会のシーズンとなるのである。そして今年は特にコロナの影響で総会が遅れている会社も多い。

株主総会と言っても中小零細企業ではピンとこない。なぜなら役員も株主も家族であることが多く、毎日の食卓が取締役会であり株主総会というケースが多いからだ。昔は会社の設立には7人の発起人が必要だったので、株主は7人でスタートした。それが今では一人でもOKになっている。極端に言えば取締役も株主も自分一人なのであれば株主総会は社長の頭の中で完結するという形になる。

 

  • シナリオ

家族経営の減少やコンプライアンス意識の向上の影響なのか、総会の招集から当日の運営まで株主総会がきちんと行われるようになって来ている。今年はコロナの影響で株主総会はイレギュラーな状況となっているが、通常であれば、だいたい会社の会議室やホテルなどで総会は開催される。

総会の進行役である議長は社長が行うと定められているケースが多い。営業や技術の話では雄弁な社長もなぜか株主総会の議長なんていうとやけに緊張してしまうようだ。慣れていない場合はシナリオを作ったり、不安な場合は事前にリハーサルをしたりするものだ。私もよく「こんな質問があったらどう対応しますか?」と事前に社長さんに聞いてみたりする。大きな変化があった期など質問が多く出そうな場合は想定問答集が必要になる。

 

  • 総会での議案

中小企業の株主総会では、決算の承認をはじめ、株主の方への配当金の支払いの有無や、取締役や監査役など役員の決定というような議案が議題となる。これらの一般的な議案は半数を超える議決権をもつ株主が賛成すれば決まることになる。中小企業では、社長の家族で過半数を所有しているケースが多いので実際にはいわゆるシャンシャン総会となる。しかし、会社のルールブックのような存在である「定款」の改訂や、他の会社との合併(結婚)など重要な事を決めるための議案の承認は三分の二超であるのでハードルが高くなる。株主総会は最も重要な会なので、どのような議案が承認されたかは、ちゃんと議事録に残しておく必要がある。

 

今年は、コロナの影響で移動が制限されていたため、書面やメールでの意思表示や WEB会議ツール による参加など様々な工夫が行われたようだ。これからの株主総会のスタンダードはどうなるのだろうか。 経営者は、一年間のケジメと新年度の覚悟の機会と考えて取り組みたいものです。

執筆スペシャリスト

藤井 英雄
パートナーズプロジェクトグループ
パートナーズプロジェクト税理士法人
藤井 英雄
税理士の藤井英雄です。 事業承継支援、起業・創業支援、相続・贈与相談等が得意。 常にバランス感覚を持ってお客様と接することを大事にしています。 多角的な視点での提案をさせていただきます。 経営相談はお任せください。

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