Q. 自然災害が頻発する昨今、弊社でも自家発電装置や防水シャッターなどを設備しようと考えています。災害対策のための設備投資について特別な税制措置があれば教えてください。
A.
令和元年7月16日に施行された中小企業強靱化法に基づき、中小企業の自然災害に備えるための設備投資を後押しするため、計画的に災害事前対策としての設備投資をすると特別償却をすることができます。以下概略を記載します。
(1)中小企業強靭化法とは
大きな災害が発生し、中小零細企業者の事業の継続が危うくなってしまっても、事業活動を継続していけるよう、税制優遇、金融支援、補助金の加点などによりサポートしていくことを目的として施行されました。
(2)税制優遇について
本税制に適合する設備投資を行った場合に、当該資産の取得価額の20%相当額の特別償却費を普通償却費と合わせて経費に計上することができます。
(3)対象となる資産について
購入前に一定の認定を受けた以下の資産
機械及び装置:100万円以上 ※例えば自家発電や浄水装置等
器具及び備品:30万円以上 ※例えば免振ラックや衛星電話等
建物付属設備:60万円以上 ※例えば排水ポンプや格納式避難設備等
他の特別償却制度と比べて対象となる資産の種類や金額要件が異なっていますのでご留意ください。また、消防法などで設置義務のある設備や中古品、所有権移転外リースによる取得は対象外となりますのでご注意ください。
(4)税制優遇を受けられる方について
本制度は中小企業強靭化法の認定を受けた青色申告書を提出する法人で資本金1億円以下又は従業員千人以下の中小企業者を対象としています。なお大企業の子会社などは除外されます。一定の組合や個人事業主も対象となります。
(5)税制優遇を受けるための手順について
認定された「事業継続力強化計画」に従って、この計画に記載された資産を取得するという手順になります。
①中小企業者が計画を作成
↓
②経済産業局へ計画の認定申請
↓
③計画の認定を受ける
↓
④設備を取得する
↓
⑤税務申告で特別償却の明細を作成添付
計画認定前に購入してしまうと税制優遇を受けることができなくなってしまいますのでご留意下さい。
(6)税制優遇の対象になる期間について
令和元年7月16日から令和3年3月31日までに取得し事業供与した資産について適用を受けることができます。
(7)圧縮記帳との併用について
補助金などの交付を受けて設備を取得し、圧縮記帳の適用を受けている場合も本制度の対象になります。但し、20%を掛ける取得価額は圧縮後の金額となります。
会社で緊急時対応のためのBCP(事業継続計画)を作成することを検討・実施されている方が増えてきています。合わせて災害に備えた設備の準備も是非ご検討ください。
詳細は税理士等専門家へご相談ください。