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コラム

Column

元会社経営者だった亡父の遺言に対し、弟から遺留分の請求があった場合の対応

Q.  私は、今年4月に亡くなった父から家業を継いだ者です。亡父は生前、公正証書で遺言を作成し、家業の資産を含む遺産全てを私に承継させましたが、弟が遺留分を請求する旨の通知を送ってきました。家業の資産はどうなるのでしょう。
なお、生前贈与は受けていません。

A.
遺留分については、減殺請求権から侵害額請求権に変わる法改正がありました。昨年7月より施行され、貴殿が家業の資産を承継することには影響がありませんが、金銭の支払いが必要になります。

 

【ポイント】

1 遺留分とは

財産を残して亡くなった方を「被相続人」、その遺産を相続する方を「相続人」と言います。相続人の範囲については法律で定められており、遺言がない場合は、法律の定める相続人が法律の定める割合的な相続分を相続し、具体的に遺産をどのように分けるかを協議、調停、審判の方法で決めます。(民法900条)
遺言がある場合は、基本的にそれに従いますが、民法は遺産の一部を兄弟姉妹以外の法定相続人が取り戻せるように認めており、これを「遺留分」(1028条)と言います。生前の人は、自分の財産を自由に処分できるのですが、民法は、相続発生後は相続人の生活保障のために、この自由を制限する遺留分制度を設けています。
但し、遺留分は権利を主張しなければ効力を持たず(形成権)、その行使期間は起算日から1年と定められています。

2 民法(相続法)改正

平成30年に相続法が改正され、令和元年7月から遺留分の行使についての改正が施行されました。(1046条)
大きな改正点は、遺留分についての相続人の権利行使が「減殺請求権」から「侵害額請求権」に変更されたことです。減殺請求権を行使されると、預貯金や現金以外の不動産や営業用資産について円滑な承継ができず、受遺者(遺言で財産を受け取る者)は共有物分割請求訴訟等を起こす必要がありました。しかし、実際の遺産分割協議や調停で遺留分を行使する相続人は、不動産等より金銭の給付を受ければ満足することが通常であるため、侵害された遺留分相当額の支払請求権に変更されました。
これにより、遺留分の行使によって、受遺者の被る事業承継への影響が小さくなりました。

3 直ちに支払えない場合

遺留分侵害額請求を受けた受遺者に、支払に足りる現金がない場合、受遺者は直ちに遅滞に陥るのでしょうか。
それでは受遺者の保護が十分ではないことから、受遺者は裁判所に申立てをして、期限の許与を受けることができるようになりました。(1047条5項)
遺留分権利者が民事訴訟を提起していない場合は、受遺者が期限の許与の訴え(形成訴訟)を提起し、遺留分権利者が先に民事訴訟を提起している場合は、その所掌で抗弁として主張するか、別訴または反訴を提起します。

執筆スペシャリスト

星野 徹
パートナーズプロジェクトグループ
高野・星野法律事務所
星野 徹
弁護士の星野 徹です。 民事代理業(交渉・調停・訴訟)、倒産事件(破産申立・任意整理)、 家事事件代理(離婚事件・相続事件)、刑事弁護が得意です。 また、長岡造形大学で憲法の講師もしています。

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