中小企業の株式の良いところは、運営がスリムで意思決定が素早くできることである。そう考えると究極は一人役員がオーナーという状態になる。しかし実際には、支援者や協力者がいて若干の株式を持つケースは多い。
- 株主を増やすか
何年か会社を運営して幹部が育ってくると、その幹部にも経営への参加意欲を持ってもらいたいと考えて幹部に株を与えたりするケースがある。また、規模が大きくなり従業員数が増えてきた場合には、直接個人名義ではなく、従業員持株会を作ったりするケースもある。どちらにしても従業員はあまり資金余裕がないので、賞与で一部を補助したりすることもある。株式を従業員などに持ってもらう場合は、最初は少数から始めることがお勧めだ。
また、主要な取引先に株主になってもらうケースもあるが、外部の関係者に株主になってもらうということは、利益を出して配当を支払えるような成績を残す覚悟が必要になる。さらに優良企業になると取引金融機関や中小企業投資育成といったような公的機関が株主になることもある。
- 株主の承継
幹部や役員から株主になってもらう場合は、その幹部や役員が将来退任する時に株をどうするかを話しておいた方が良い。決めた通りになるとは限らないが、決めておかないと退任しても継続して株主のままとなる。この場合は相続が発生した時点で、旧役員の家族に株が引き継がれてしまうことになる。中小企業は、会社に関係している人で、かつ顔が見える範囲の方が株主であることが重要だと思う。そういう意味では縁遠くなっている親族に株を所有してもらうこともお勧めできない。退任役員の株は次世代の役員が引き継いでくれると株主の世代交代がうまく行われることになる。
経営者の世代交代も株主の世代交代も遅れ気味だと言われている。コロナ禍で激変する環境に対応できるように株主も見直しておいてはいかがでしょうか。