Q. 従業員の退職金の充実のため、iDeCo+を検討しています。どういった制度でしょうか。
A.
iDeCo+(イデコプラス)とは、中小企業向けの退職金制度です。
従業員の老後の資産形成に大きな効果があり、また税務上のメリットもあります。そもそもiDeCoとはどういった制度か、企業と従業員にどのようなメリットがあるか確認してみましょう。
1 iDeCoとは
iDeCoとは、20歳以上60歳未満が加入できる老後の資産形成制度です。毎月掛金を支払い、老後に年金または一時金として受け取ることができます。
特徴として、従業員自身が掛金の運用先を決めることができることにあります。リスクをとって多くの運用益を得る、堅実に元本が減らないようにするなど、運用方法を加入者自身が選択します。
2 iDeCoの税務上メリット
① 掛金
加入者が支払った掛金は、そのすべてが「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象となります。通常の年金保険等と比べ控除する金額が大きいです。
② 運用益
運用益は、すべて非課税となります。預金利息や証券投資の運用益などは原則として約20%の所得税等がかかりますが、iDeCoの運用益には所得税等の負担がありません。
③ 老後資金の受取
年金として受け取る場合には公的年金等の特別控除の適用があり、一時金として受け取る場合には退職所得として計算されるため、いずれも所得税等の負担が少なくなります。
3 iDeCoの注意点
掛金は原則として60歳まで引き出すことができません。また運用結果により元本割れが生じる可能性があることや、金融機関の手数料等がかかることにも注意が必要です。
このほか、勤め先が別の年金制度に加入している場合には加入できない場合があること、掛金に上限があることに注意が必要です。
4 iDeCo+とは
iDeCo+とは企業が従業員に対して行う退職金制度です。iDeCoに加入している従業員の掛金に企業が上乗せして掛金を支払うことにより、従業員が将来受け取る老後資金が増加します。
企業の従業員数など加入要件がありますが、2020年10月にこの要件が緩和され、使いやすくなりました。
5 iDeCo+のメリット
企業が支払った掛金は全額損金算入となるため、法人税等の軽減になります。またこの掛金の運用先を決めるのも従業員自身になるので、運用結果に企業が責任を負うことがありません。
従業員にとっても社会保険料・税金等の負担がなく掛金の上乗せが行われます。
6 おわりに
平均寿命が延びているなか、老後資金をどう作っていくかが話題となっています。その対策としてiDeCo、iDeCo+の活用を検討いただけたらと思います。