コラム

Column

PTA会計の不正問題とその対策

 

近年、全国の小中高校のPTA会計を管理する口座から、不適切な資金の引き出しや使途不明金が発覚する例が相次いでいます。
過去10年間に朝日新聞が報じただけでも全国で53件あり、うち少なくとも6件は不正総額が1千万円を超えています。

(横領、着服…なくならぬPTA会計の不正 約3千万円の被害も:朝日新聞デジタル (asahi.com)

この問題はPTAの信頼性を揺るがすだけでなく、地域社会全体に不安をもたらします。
以下に、問題の概要とその解決策について考察します。

【問題の概要】

PTA会計は、学校と保護者が協力して運営するものであり、学校行事の資金や教育活動の支援を目的としています。しかし、最近では以下のような不正が報告されています。

1.不適切な資金の引き出し
PTAの口座から、正当な理由なく大額の資金が引き出されるケースが増えています。これにより、PTAの活動資金が意図しない形で流用され、会計の透明性が損なわれています。

2.使途不明金の発覚
会計報告書において、明確な使途が示されていない金額が含まれることがあります。これにより、資金の運用方法に疑問が生じ、保護者や学校側からの信頼が低下しています。

【問題の背景】

これらの問題が発生する背景には、いくつかの要因が考えられます。
・会計管理の不備(会計担当者の経験不足による単純な誤り)
・内部統制の欠如(複数人でのチェックや監査体制の不十分)
・PTA内部での情報共有やコミュニケーション不足

【解決策と対策】

この問題に対処するためには、以下のような対策が求められます。

会計管理の強化

PTAの会計管理には簿記等の専門的な知識が必要です。知識を備えた方が担当するか、そうでなければ会計担当者のスキル向上を図るための研修を行うことが重要です。規模によってはエクセルで出納帳を作成するだけでなく、会計ソフトを利用することも有効です。

内部統制の改善

複数人によるチェック体制を整え、経費の支出や資金の引き出しについては複数人の承認を必要とするルールを導入することが有効です。有料ですが、外部監査を検討する必要があるかもしれません。

情報共有の強化

PTAの活動や資金の使途について、保護者や学校側に対して透明性を持たせるための定期的な報告を行いましょう。コミュニケーションの改善により、疑念や不信感を解消することができます。

予防策の導入

年1回でなく定期的に会計監査を行い、問題が発生する前に予防策を講じることが大切です。また、会計規程やガイドラインを整備し、全ての関係者が遵守するよう徹底しましょう。

 

【まとめ】

PTAだけでなく、町内会等の人格のない社団の会計(税務申告不要なため、税理士や税務署のチェックが入らない場合が多い)は同様のリスクを抱えています。
執筆者の私自身、現在、地域の育成会(小中学生及びその親が加入する組織)の会計を担当していますが、多少の会計知識がないと、会計帳簿や証憑書類(領収書、請求書、預金通帳など)をわかりやすく残すことは難しいようと感じています。また、それなりの時間も要します。
PTAなどの組織を健全に運営するためには、構成員の協力と積極的な関与が必要です。
会計に関して厳しい監視の目を向けつつも、役員だけに負担を預けず、イベント等では積極的に参加してほしいと切に願います。

 

◆講師プロフィール◆
税理士法人近藤まこと事務所
税理士 田澤 陽介

<得意分野>

・相続関連業務全般
・法人関連税務全般
・医療会計

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https://san-niigata.com/author/san0082/

 

執筆スペシャリスト

田澤 陽介
税理士法人近藤まこと事務所
田澤 陽介
税理士の田澤陽介です。平成19年から税理士事務所に勤務し、平成20年税理士試験合格、平成25年に税理士登録しました。加茂市出身、現在も加茂市在住です。 法人税、相続税、所得税、どの税目も守備範囲広く対応させていただきます。
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