令和6年の新潟県最低賃金985円が10月1日に発効しました。
前年からの引き上げ額は54円となり、昨年の41円(令和4年890円から令和5年931円)を大きく上回る過去最高の引き上げ額となりました(過去10年の引き上げ状況は下表の通りです)。
新潟県最低賃金 | 前年からの引き上げ額 | |
令和6年 | 985円 | 54円 |
令和5年 | 931円 | 41円 |
令和4年 | 890円 | 31円 |
令和3年 | 859円 | 28円 |
令和2年 | 831円 | 1円 |
令和元年 | 830円 | 27円 |
平成30年 | 803円 | 25円 |
平成29年 | 778円 | 25円 |
平成28年 | 753円 | 22円 |
平成27年 | 731円 | 16円※ |
※平成26年は715円
コロナ禍からの揺り戻しやロシアによるウクライナ侵攻などを契機とした物価高騰により(最近は円安による影響が大きいでしょうか)、賃上げへの要請(圧力といっていいかもしれません・・・)が強まっていることの結果ですね。企業にとって苦しい状況は続いていくと考えられます。
最低賃金は法令で強制されているものですから、絶対的に遵守しなければならないとして、企業が注視しなければならないのはそれだけではありません。
自社の最低賃金ばかりに目を奪われず、賃金バランスの崩れ、特に中間層の賃金水準の中だるみには注意を払うべきと考えます。
さて、物価高騰による賃上げ圧力ももちろん気になるところですが、コロナ禍で一旦小休止した感があったとはいえ、日本は全国的に人手不足が深刻化しています。
2008年をピークに日本の総人口は減少局面に入っており、少子高齢化に歯止めがかからない状態です。おそらく政府がいかなる施策をとったとしても、改善はおろか歯止めをかけることすらできないでしょう。
そうであれば、日本の労働市場に供給される日本人の労働力人口も当然ながら減少し続けるため、人手不足は深刻の度合いを益々深めていくことになり、人材の争奪戦がさらに激化していくことは間違いありません。
そうした中で、「最低賃金は上がっているのに自分たちの賃金は上がっていない」と感じる人たち(=賃金水準が中だるみしている中間層の人たち)がいるとするならば、彼・彼女らが今よりもいい条件を提示してくれる企業に転職することを考えたり、あるいは自分がやりたい事業を起こして自分で稼いでいこうと独立を思い立ったりしないと言い切れないでしょう。
そうして転職や独立をしていく人々の代わりを探そうとしたときに、激しい人材争奪戦が展開されている最中で、思うような人材が得られるものでしょうか?
自社をそのような難しい局面に置かないように、あるいはそのような局面に万が一立ち至ったときのために、最低賃金だけでなく自社全体の賃金バランスの崩れに気を払うべきと私は考えますが、皆様はどのように考えますか?
◆講師プロフィール◆
小川会計グループ 社会保険労務士法人 KBS
社会保険労務士 河野 雅史
<得意分野>
人事制度構築コンサルティング/人財育成トレーナー/労務相談
/就業規則・諸規程作成/助成金コンサルティング
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