コラム

Column

未来への小さな工夫(予備的遺言)

皆さんは代襲相続というのをご存じでしょうか。

親よりも先に子供が亡くなった場合には、代襲相続といって、その子供の相続分は子供の子、つまり孫に引き継がれます。

では問題です。
親が「長男に全財産を相続させる」という遺言書を作成した後に、長男が親より先に亡くなってしまいました。この場合、遺言の内容も代襲相続のように、長男からその子供である孫に引き継がれて孫が全財産を相続できるでしょうか?

答えはNOです。
遺言書で長男に相続させると記載した長男が先に亡くなった場合にはその遺言は無効になってしまうのです。
せっかく子供たちがもめないように遺言書を残したのに、親の想いは届かないことになります。

ではどうすれば良いか。それが予備的遺言です。
予備的遺言とはその名前の通り予備の遺言で、今は起っていないけれど、もしその時こういう状態だったらこうして欲しいという“もしもの事態”を遺言書にあらかじめ記載しておくことです。

つまり
「全財産を長男に相続させる。もし長男が亡くなっていた時は孫の○○へ全財産を相続させる。

この下線の一文が未来への小さな工夫です。

長男が生きていれば長男へ残すことが出来て、万一長男が亡くなっていたとしても長男の子供である孫へ残すことが出来ます。
自分で遺言を書かれる方などはこの予備的遺言の一文の記載が無い場合がほとんどです。
遺言書には自分の意思を残すことと家族のトラブルを防ぐ役割があります。
その効果を高める為にも、遺言書の中にはぜひこの予備的遺言の記載をご検討下さい。

この未来への小さな工夫が、将来の家族の大きな幸せになるかもしれません。

将来の家族の笑顔の為に。

執筆スペシャリスト

藤井 章雄
パートナーズプロジェクトグループ
一般社団法人相続と遺言の相談センター
藤井 章雄
税理士の藤井章雄です。 相続税相談、相続対策業務、遺言作成業務が得意です。 税理士だけでなく、行政書士、ファイナンシャルプランナーの 資格も有しています。 生前準備、相続対策を行うことにより、 争続にならないお手伝いをいたします。
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