冬眠と言えば真っ先にクマが思い浮かぶのだが、クマの場合は長い睡眠という感じらしい。本来の冬眠は、体温や呼吸数そして心拍数までもが極端に低下して仮死状態的になるものを言い、リスなどにみられるものだという。困難な環境を最低限のエネルギーで耐え忍び、いずれ復活するための機能が本来の冬眠ということである。動物は冬眠と言うが、物や組織については休眠という言葉が使われるようだ。例えば、休眠会社や休眠預金などである。しかし実際には、眠ったままで復活にたどり着くケースは少ないのではないかと感じる。
- 休眠会社
会社としての名義は残っていても実際に稼働していない会社は数多くある。承知して放置されているものもあるが、解散と清算の手続きを行うお金がなくて放置されているケースもある。法務局の観点からは、株式会社では最後の登記から12年を経過すると休眠会社とみなされ、一定の手続き期間を経て強制的に解散の登記が行われる。社団法人や財団法人はさらに短く、5年経過で休眠扱いとなる。官報という国の広報誌に公告が出て通知が発送されるので、もし復活したい場合は一定の届出を出すことになる。だが実際に復活するためには、放置した期間の登記や税務申告などの手続きがあるため、悩んだ末に結局新しく会社を作ることを選択するケースもある。
- 休眠預金
忘れ去られている銀行口座がかなりあると言われる。相続時の現場で古い通帳を見かけることがあるが、昔は本人でなくても通帳を作れたし、銀行も合併などで名前が変わり、家族でもわからないケースもある。いわゆる休眠預金と言われるもので、10年以上入出金がなく、本人と連絡がとれない預金が該当するという。なんと年間700億円を超える金額が発生するらしい。休眠預金を民間の公益活動などに活用するための休眠預金活用法が2018年から施行され、2019年より実質的にスタートしている。万が一、休眠預金に該当しても手続きを行えば引き出すことができるのだが、そんなことにならないように、まずは金融資産の一覧表を作ってみて使わない口座は整理しておく必要がありそうだ。
- 凍結財産
認知症患者は意志判断の確認が困難となるため、財産は凍結状態となるケースがある。認知症患者が保有する金融資産は、第一生命経済研究所の試算では既に140兆円を超えるとされ、莫大なお金が活用されずに眠っていることになる。対策として有効なのは成年後見人であるが、負担や費用、自由度の低さなどからあまり普及してはいない。他には、事前に家族で信託契約を結んでおくことなどが考えられ、今後は活用が広がる可能性がある。ただ、財産の凍結は、休眠預金とは違い期間限定だ。相続時には子どもなどに承継されて凍結からの解凍となるからだ。
人間の体は、映画のような人工冬眠はまだできなそうですが、会社や財産については休眠や凍結とならないようにしたいものですね。
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