コラム

Column

令和2年からの基礎控除の改正

2020.02.20

来年から個人所得における基礎控除が従来より10万円引き上げられると聞きました。税金にどのような影響がありますか。

基礎控除の金額引き上げ改正に合わせて、一定所得者の控除逓減やその他の控除の引き下げなども合わせて実施されます。減税になるか、税負担が増えるかはケースバイケースです。令和2年から適用される内容を簡単に記載します。

(1)はじめに 「所得控除」とは

所得税は個人の1年間の所得に税率を乗じて計算します。税率は所得が多いほど大きくなります(累進課税方式)。所得控除はこの所得を小さくするための制度です。

(2)基礎控除の改正 

現行は一律38万円の所得控除となっています。これが令和2年からは48万円となり10万円引き上げられることになりました。これだけを見たら減税措置と言えます。しかしながら所得の多い方については制限が設けられます。具体的には所得金額が2,400万円を超える方について段階的に控除額が減少していき所得2,500万円を超えると控除額は0円となります。したがって、所得の大きい方にとっては増税となります。

(3)給与所得者にかかわる改正

サラリーマンの給料には所得を計算するうえで給与所得控除という制度があります。令和2年分からはこれが一律10万円引き下げになります。さらに上限が給与収入850万円で控除額は195万円となります。(現行の上限は、収入1千万円で控除限度額220万円)

(4)個人事業者にかかわる改正

個人事業主の方で青色申告の65万円控除を受けている方については、原則、令和2年分から10万円引き下げられ特別控除額が55万円になります。但し、電子申告又は電子帳簿保存を行っている方については引き続き65万円の控除が受けられます。

(5)年金受給者にかかわる改正

公的年金の控除は一律10万円の縮小がおこなわれます。さらに年金収入1千万円を超える方はさらに縮小となります。

(6)改正の影響

①給与、年金受給者

基礎控除が上がっても、その他の控除が引き下げられるためほとんどの方については基本的に税負担の影響がないと思われます。しかし、給与では850万円、年金であれば1千万円を超えるような受給者については上限設定があるため税負担が増える可能性があります。さらに所得が2,400万円超で基礎控除が縮小するので税負担が増えていくこととなります。
急な税負担増にならないよう収入の多い方について、一定の扶養者がいる場合には調整が設けられます。(所得金額調整控除)

②個人事業主(青色申告者)

個人事業主で電子申告や電子帳簿制度を行っていない場合は基礎控除が増加しても、青色申告特別控除が減少するため課税への影響はないと思われます。
電子申告をされている方は基礎控除引き上げ分の税負担減が想定されます。ただし所得が高い方は①と同様に基礎控除の制限で増税となることも想定されます。

詳しくは専門家へご相談ください。

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執筆スペシャリスト

鈴木 大滋
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鈴木 大滋
税理士の鈴木大滋です。 法人合併手続きが得意です。 経営に関する悩みはお任せください。
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