
はじめに
生成AIに関する情報が氾濫する世の中。新聞紙上で生成AIに関連する記事が掲載されない日はめずらしく、いろいろな雑誌に特集記事が組まれ、インターネット上でもさまざまな情報があふれる毎日。
このような時代、生成AIの利用・活用について、お客様にどのようなアドバイスをできるのか、また社会人として生成AIと、どのようにつき合うべきなのか、個人的に思うところを。
1.お客様にどのようなアドバイスをできるのか
自分自身、生成AIの利用方法や活用方法について、昨年に引き続き、今年も研修を受けていますが、いっこうに生成AIを効果的に利用・活用できる段階に至っておりません。そのような現状ですので、お客様に生成AIの利用方法や活用方法についてアドバイスするのは無理。それにお客様からそのようなアドバイスは期待されていないだろうな...
お客様が生成AIを利用するにあたって既存の法令、たとえば個人情報保護法や著作権法との関係で留意すべきことや、生成AIを使って生成したコンテンツを公表する際に予期せぬトラブルに巻き込まれないようにすることなどをアドバイスすることくらいはできるだろうか。ただ、このような事柄について具体的に助言するのは、税理士の守備範囲ではなく弁護士の業務領域なんだろうな...
それでは、生成AIを社内で適切に利用・活用するための社内ガイドラインの策定や、その実効性を担保するための組織体制や監査体制づくりについて助言したり、より詳しい専門家を紹介することくらいはできるのかな、などと思案に暮れる日々です。
2.社会人として生成AIと、どのようにつき合うべきか
2026年9月24日の日本経済新聞の「経済教室」は『教育現場、生成AI使用の全面禁止が必要』という刺激的なタイトルの東京大学の酒井邦嘉教授の寄稿。この寄稿、国を含めて生成AIをどんどん利用・活用していこうとする昨今の流れに、ある意味、まっこうから反論するものです。この寄稿に対しては、インターネット上でも賛否両論あるので、興味のある方には、ぜひお読みいただきたいのですが、個人的には酒井先生の提言に大賛成。さらに言えば、会社の業務においても、生成AIについては、制限的な使用にとどめるべきではないかと(禁止とまでは言いませんが)。
というのも、現在、会社の業務における生成AIの利用に何ら制限がないため、若手社員が身に着けるべき基本的な社会人としての技能を習得する機会が失われてしまっており、そのような機会を取り戻すためには、会社の業務においても生成AIの利用に一定の制限を加えるべきなのでは、と思うから。
たとえば会議の議事録。今では会議の内容は録音(録画)して、生成AIで自動的に文字起こし。人間が少し手直しをするにしても、ほとんど自動化が一般的。また大量の書類・資料のとりまとめについても、生成AIに読み込ませて、要点をきれいにまとめてもらい、人間はただそれを読むだけ等々。これって、たしかに便利で、業務時間の短縮にはなると思うのですが、これによって、本来、若手社員時代に身に着けるべき技能が習得されないままになっているのではないかと。
私はすでに還暦を過ぎましたが、私と同年代の人たちは、おそらく若手社員であった修行時代(これがもはや古い考え方かも)に会議でメモを取り議事録を作成する、大量の資料や書類を時間をかけて読み込んで要点を取りまとめるといった業務を通して、社会人として必要な基礎的な技能を習得してきたと思うのですが、そのような業務を生成AIに置き換えることにより、若手社員が身に着けるべき技能を習得する機会が失われているのではないのか。
「会社業務において生成AIの利用を一定程度、制限すべき」という考えに対しては、生成AIを活用できない時代遅れの人間の考え方では、と反論されるのかもしれませんが、このようなことをつらつら考えながら、巷にあふれる生成AIに関する記事を読む日々です。

◆講師プロフィール◆
税理士法人小川会計 税理士 結城宏之
<得意分野>事業承継/組織再編
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