コラム

Column

いま経営者は どういう思考が必要か

  • いま、お店を閉じるべきか

店主は「少しでもお店を開けておけば売上につながる」と思って営業を続ける。
だが(現実は)客数が減って売上が減少している。そうすると「お金が足りない」となる。

なにを削るべきか。

固定費で大変なのは、給料と家賃である。
給料は、雇用調整助成金を活用することで90%~100%補助金でカバーできる。
家賃は、まずは家主と相談する。期間限定でも下げてもらう、支払いを待ってもらうことを交渉する。そのときのポイントは、営業を続けるのか一時閉店するのか。

 

  • 非常事態宣言

そこで、いま5月6日まで非常事態宣言ということで全国を対象として「外出を自粛してください」、「人との接触を8割削減してください」といわれている。
さらに、新潟県においても営業を停止要請する業種が指定されている。

これらの業種に該当するならただちに営業休止することが大切だ。もちろん、要請に応じたなら協力金の用意があるということだから、その手続きもチェックが必要だ。

しかし、中には10万円とかじゃあとても合わないという業種もあるかと思う。
確かに、たまったものじゃないという意見は出るだろう。

 

  • 「お願い」のレベル

しかし、ここがポイント。国、県をあげての休業要請。

これは国家的なレベルでの問題で、個人的レベルの問題を超えている。海外などを見れば軍隊が出動して都市封鎖が行われている。外出禁止令が発動されている。この状況から見れば日本は一番緩い「お願い」のレベルだ。

 

  • 社会的なサンクション

「お願い」といっても、行政のいう「お願い」とは、ある意味「いうこと聞け」という命令を本当はいいたいところを「お願い」という言葉で表現しているという意味なのだ。

この「お願い」を無視して自分のレベルだけで判断すると、社会的なサンクション、すなわち無言の制裁が行われる。これはマスコミなどを通じて批判を浴び始め、それを見ている市民がだんだん声を上げ始める。

要請に応じない企業の名前を公表するなど、だんだん風向きが厳しくなる。

 

  • 日本人は真面目なのだ

人々は真面目なのだ。真面目すぎるところもあるが、基本、日本人は真面目なのだ。

だから、自分のことしか考えないで営業をやっていると、自分を犠牲にしても国や行政が「お願い」していることを「守らないヤツらはけしからん」という真面目な意見を持つ人が必ず出てくる。

この人は真面目だから、その意見に対してほかの人は反対しにくい。そうなると、「真面目な意見」にドンドン引っ張られて問題が大きくなる。

 

  • 「金太郎アメ」

ここからが大変、色々な考え方で行動する人はいるわけで、なにもすべての人がすべて同じ意見で行動する必要はない。

というより、いわゆる「金太郎アメ」のような単一な意見で統一されるということは「非常に怖い」ことだということを、戦前の日本の状況を思い出せば理解できるはずだ。

だが、真面目な人から見たら、そういった不真面目な人は許されないと考えてしまう。

 

  • 許容の範囲が問題

ここはある程度の許容、寛容という考えが持てるかどうかにかかっている。
ただその「許容の範囲が問題」になる。
どこまでなら個人の自由なのか、どこから全体のために制約されるのか。この問題だ。
困った問題だが、極端な意見はもっと困ったことになるから抑えなければならない。

 

  • 極端から極端へ

人というものはどうしても極端から極端に振れやすい。
世の中がマイナスに向かっているときは、まだまだ大丈夫だと思う。それが、だんだん現実になってくると、今度は一気に心がマイナスに振れてゆく。それもドンドン極端にマイナスに振れてしまう。

今度は、世の中がだんだん回復し始めても、人はまだマイナスだと思っている。ようやく回復を実感し始めたら、こんどは期待度が高まってドンドンと膨らんでゆく。期待度が膨らみすぎてしまう。

こういう振れ方を、どうしても人間の気持ちの中では、極端から極端に振れてしまう。
そこを理解しておく必要がある。

  • 普段できないことをやる

そこで、まずは自分の商売のことをもう一度考えて見る。
休業できるなら素直に休業して、ふだんできないことを今の時期にやっておこうと考えるべきであろう。

社員教育などチャンスのはずだ。ただし、「三密」を避けなさいということで、集合型の研修は難しい。個人研修やWeb研修など色々なことを工夫してやるしかない。eラーニングとかDVD研修教材とか、いろいろあるはずだ。

いま、先が見えないから計画がたてにくい。それで、場当たり的な対応になって、後になって考えればあのとき、あのひまな時にやっておけば良かったと思うものだ。

先が見えないなら見えるものから考えてゆく。

 

  • 休業しようものなら倒産してしまう

つぎに、「休業しようものなら倒産してしまう」という商売の人は、よくよく考えて見ると、営業していても相手があるものだから、まわりもみんな在宅勤務やら休業やらで人が動かなくなってしまっているから、商売そのものが成立しなくなっている。
だから、営業しても売上は上がらない。

それなら、休業対策を考えるべきではないかと考えて、早めに融資の相談なり休業に変わる方法なり、宅配とかテレワークや通販や、いろいろ考えるべきではないかと思う。
場合によっては、それこそ廃業を考えなければならないかもしれない。

 

  • 3ヵ月はダメ

いつまでを考えれば良いのだろうか。

政府の緊急事態宣言は5月6日までといっているが、それが伸びる可能性もかなりある。伸びれば結局5月中は回復するなどということは考えにくい。

まずは3ヵ月はダメだと考えておく方が現実的だ。
結局半年ダメだと思っていた方がよいかもしれない。

 

  • 「薬」がいつできるか

再稼働できるとしたら夏は難しく秋口という感覚で私はとらえている。
それにしても、現実的にはコロナの「薬」ができなければ収束などとはなり得ない。
薬ができて一般に使われるようになるとしたら来年、結局年内はダメではないかという事になってしまう。

 

  • まずは半年の資金計画

そう、年の単位の対応策ということになるから、企業としては資金繰りの問題だ。
収入が無い中でどうやって固定費を払って維持していくかという問題だ。
そのためには、まず半年の必要運転資金を算出して、その分の資金をどうやって手当てするかを検討しなければならない。
出費を抑えて、というよりも何を削って、何を止めるのかを検討しなければならない。

 

  • 先が見える

まずは半年と考えて検討しよう。
半年見てもまだ難しいとなったら、再度検討しなければならないが、まずは半年で検討してみよう。
それも早いうちに計画を立ててみよう。
実情を数字に落としてみると、先が見える。

執筆スペシャリスト

髙野 裕
パートナーズプロジェクトグループ
株式会社パートナーズプロジェクト
髙野 裕
税理士の髙野裕です。 税理士だけでなく、中小企業診断士、行政書士、 ITコーディネーター、ファイナンシャルプランナー、 宅地建物取引士、登録政治資金監査人の資格も有しています。 また、新潟大学で非常勤講師をしています。 中小企業経営者様向けにセミナーも多数開催しております。
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