Q. 新型コロナウィルスにより多大な影響を受けていますが、税務的支援にはどのようなものがありますか。
A.
新型コロナの影響で人の動きが制限され、消費活動が大きく減退している中、経済活動が停止しないよう国も税制面で支援を打ち出しています。以下新型コロナ禍における税務支援策をご紹介いたします。
(1)納税猶予の特例
売上の確保が難しく、日々の資金繰りにご苦労されている方も多いかと思います。収入が一定程度減少した場合には、所定の申請を行うことによって、1年間、税金の納付を猶予してくれます。この特例猶予では、担保の提供が不要で、延滞税も発生しません。また既に猶予を受けられていた場合、この特例に切り替えることもできます。
全ての税目が対象で、さらに税金以外の社会保険料についても同様の取り扱いになっています。
猶予期間終了後は一般の猶予制度により分割納付することも可能です。
(2)中小企業経営強化税制の拡充
コロナ禍の中で密を避けるようテレワークを導入する事業者が増えています。
設備導入に対し、これまでにも生産性向上設備の導入や収益力が向上する設備の導入によって特別償却あるいは税額控除が受けられる制度があります。この制度に「テレワーク等のための設備」の導入でも税制優遇が受けられるよう拡充が図られました。
これまでの税制では生産効率や収益率のアップが税制適用要件の一つでしたが、テレワーク等設備については取得(及び使用)が要件ですので適用しやすくなっています。なお、取得資産の金額要件や事前に経営強化法の認定を受ける等の要件もあるので導入の際はご注意下さい。
(3)欠損金の繰戻還付の資本金要件緩和
今年の赤字を前年の黒字と相殺し税金の還付を受けられる繰り戻し還付制度について、資本金1億円を超える法人では適用ができませんでした。しかし、令和4年1月31日までに終了する事業年度については資本金10億円以下の法人まで適用できることになりました。
(4)消費税の届出時期の特例
①課税事業者の選択について
消費税は原則、課税期間が始まる前までに届出等を提出しなければ各種制度を適用できません。しかし、この新型コロナにより売上が著しく減少した場合に還付申告を行いたい場合、その申告書の提出期限までに所定の手続きをすることにより消費税の課税事業者として還付申告を行うことができるようになりました。
また本来であれば複数年にわたって課税事業者が強制されますが、この特例では単年度のみの適用も可能になります。
②簡易課税制度の選択について
簡易課税についてもその適用の可否について一定の手続きをすれば事業年度開始後であっても簡易の選択、本則課税への変更をすることが可能になっています。
(5)その他
その他支援として下記の制度があります。
・個人所得税において、住宅ローン控除について、入居期限要件が弾力化
・個人で購入したチケットについて、感染拡大防止のため中止となったものの、払戻請求をしなかった場合、寄付金とし控除制度を適用
・国民健康保険や国民年金につい保険料の免除や猶予
・固定資産税の減免
詳細は税理士等専門家へご相談ください。