人や動物だけでなく、企業も国家も生き物であり、「変化」や「再生」という言葉はどんな組織でも生き残りの共通キーワードだ。
- 変化力
「あの人、最近変わったよね!」と周りが言うときは、服装や髪形などの外見よりも、表情や雰囲気、話の内容、声のハリと言ったような内面からにじみ出る所作の変化を指す場合が多いのではないだろうか。人間などのほ乳類は、ほぼ親と同じ状態で生まれてくるので外見的な変化は少ない。これに対して両生類や昆虫は、まるで違う生物に変化する。カエルは、オタマジャクシからカエルになるが、見た目だけではなくエラ呼吸から肺呼吸へと呼吸方法まで変化する。また食べるものも草食から肉食へと変わる。蝶やハチなどはイモムシからサナギになり、そして蝶へと3段階で変態し完全変態と呼ばれる。
- 再生力
窮地に陥ったときにテレビのヒーローはいきなり元気に復活し、さらにパワーアップする。しかし現実の生き物や組織はそうではないし、手足を無くせば残念ながら生えてこない。トカゲのしっぽは再生するが、これは自切といって尾が取れる場所が決まっており、さらに根本で切ると尾は再生しない。これに対してイモリなどは切られた場所に関係なく再生する。つまりトカゲは想定内の再生で、イモリは想定外の再生にも対応できると言うことだ。環境しだいでは手や足が丸ごと再生するという。もしイモリの再生能力を再生医療に応用できたらすごいことで、世の中が変わる。
- 意志力
カエルや蝶は本能で変態するのに対して、人間は自らの「変わりたい」という決断と意志の力で変化するということだ。つまり企業や組織の再生は、経営者と構成員の決断と意志の力で再生するということになるのではないだろうか。企業の再生を支援する中小企業再生支援協議会が、支援の対象とする企業の前提条件には「経営者が再生に向けての強い意欲を持っていること」という項目がある。ますます厳しくなる経営環境のなかで再生が必要な企業も多くあると思う。先ずは経営者が再生に向けた強い意志を示し、それを全社員に浸透させて組織全体としての意志力を維持する必要がある。
新年のスタートにあたって、まず自分自身の意志力を試してみませんか?