11 月30 日の日経新聞に“公正取引委員会が中小企業の価格転嫁を促すための指針を公表”
という記事が掲載されていました。
現在日本経済は好調で税収は伸びており、株価も順調です。国は経済をさらに活性化する
ためには賃上げが必要だとしており、来年は今年よりもさらに加速させて、さらなる経済の
活性化につなげようとしていることは言うまでもありません。
しかし、賃金を上げるのは企業であり、特に中小企業の動向が重要です。企業としては賃
金を上げ、休日を増やし、残業を減らすためにはそのコストアップ分の収益の向上が必要で
す。
方法は、売上を伸ばす、または商品の価格を上げるなどがありますが、収益の向上、そし
て価格転嫁がスムーズに行えなければ中小企業は行き詰るか、賃金アップが進まず取り残
されるか、いずれかになってしまいます。そして、賃上げが進まず、賃上げによるさらなる
経済の活性化も中途半端になって追いつかなくなります。まさに正念場というところにいま
す。しかし、この公正取引委員会の指針の変更で全ての企業が価格転嫁が進むわけではなく、業種業態で対応は変わらざるを得ません。
私が付き合っている中堅の老舗企業がありますが、この企業はやや伸び悩み傾向で、典型
的なトップダウンの会社ですが、賃金もやや低めでした。この会社が今、数年以内に賃金を
30%アップさせようという方針の下、大きく動こうとしています。(この企業は残念なが
ら新潟県の企業ではありません。)
企業はどこも経営理念を掲げています。“三方良し”の経営とか、顧客満足の追求とか、社
員満足の追及などなどです。顧客満足は社員満足とイコールです。賃上げを経営としてどう
捉えていくかが最大のポイントであろうと思います。荒利益の改善の方法は“現場にある”と
よく言われます。現場はお客様との接点の事です。そのお客様の接点に立ち続けているのは、
その現場にいる社員にほかなりません。この現場に立っている社員の工夫と、経営トップと
のコミュニケーションなくしては荒利益の改善は思うようには進みません。賃金を上げるこ
とによって、それ以上に伸びた企業が数多いということは私が言うまでもありません。「当
社は賃金を上げようが、休日を増やそうが、社員の採用は難しいよ」などと嘆く前に、ぜ
ひ発想の転換をお勧めします。
◆講師プロフィール◆
小川会計グループ 税理士法人 小川会計
税理士 小川 健
<得意分野>企業再生コンサルティング M&Aコンサルティング
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