コラム

Column

集中期間

ダラダラとやっても効果が上がらないから集中して一気にやってしまいなさい!なんて子どもの頃に言われた気がする。確かに物事は期限を決めてやらないとどうしても先延ばしになってしまうものである。先延ばしになっている事の一つに中小企業の事業承継問題がある。そこで、国では事業承継の遅れに危機感を抱き、2年前に10年間を集中期間として支援策をスタートしてきた。しかし、まだ事業承継が加速しているとは言えないようだ。例えば目玉的な優遇策であった事業承継税制については、申請数が以前の10倍超になったと言うが、元々が少なすぎるのでとても足らない件数である。うまく活用できればメリットが大きい特例なので、株価が高くて持ち株の比率が高い経営者の方はぜひ検討してみて頂きたい。

 

  • 事業承継税制

経営者の方から、「もう株の税金で心配する必要がなくなったそうだね」などと言われることがあるが、残念ながらそれは誤解である。確かにそのような状況が続く可能性もあるが、いくつもの条件があるため安心できるということではない。まず一番の誤解は、納税がなくなるわけではなく、あくまで納税を猶予状態にするものである。全体の流れとしては、いくつもの条件をクリアーした会社が、事前に計画を出して、株を移動して、認定申請後、条件を維持し続けていることを、国と県に5年間毎年報告して、その後は3年ごとに国に報告し続けるというストーリーである。この特例は事業継続を支援するためのものなので、後継者が途中で株を手放してしまったり、代表を辞めたりするとアウトになって納税対象となってしまう。「なんか監視され続けているみたいだ」という経営者の方もいる。このように制度の評価は分かれるが、まずは検討してみることがお勧めである。

 

  • 承継計画をつくろう

この特例を使って株を贈与するためには、認定経営革新等支援機関の指導助言を受けて5年以内に特例承継計画を県に提出しておく必要がある。つまり、集中期間は10年といいつつも、名のりを上げる期間は5年間ということになる。計画の申請は令和5年の3月末がタイムリミットとなっているので、すでに残りの期間は3年程度となるのだ。

認定経営革新等支援機関はネットで検索システムがあり、地域を選び、支援分野で事業承継を選択すると探すことができる。計画の主な内容は、いつ代表を交代し株式を移動するのか、株式を移動するまでの期間の経営課題とその対応、そして株式を移動してから5か年間の経営の取り組みなどである。このように書くと難しそうな感じがするが、この計画は大雑把なもので、変更があれば変更も可能である。ちなみに計画を提出した場合で仮に計画を実行できなかったとしてもペナルティはない。

現経営者と後継者の対話の機会と覚悟の場として承継計画の検討があるといいのではないかと思うのです。特例税制を使うかどうかは別にして、承継計画を話し合ってみてはいかがでしょうか?

 

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おかげさまで20周年。これからも地域の課題解決のために頑張ります!
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執筆スペシャリスト

藤井 英雄
パートナーズプロジェクトグループ
パートナーズプロジェクト税理士法人
藤井 英雄
税理士の藤井英雄です。 事業承継支援、起業・創業支援、相続・贈与相談等が得意。 常にバランス感覚を持ってお客様と接することを大事にしています。 多角的な視点での提案をさせていただきます。 経営相談はお任せください。

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