コラム

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社会常識と法律の規定の乖離~どの様に考えるべきか

近年、社会経済情勢の変動は激しく、政府も変動に対応すべく、頻繁に法律改正を行ってきた。

改正された法律には、会社法、民法等の基本法も含まれている。その結果、「法律の規定」と社会常識が、必ずしも一致しない現象が散見される。例えば、会社法である。会社経営者であれば、自社の定款と同様に会社法の重要な規定も知っておられると思う。しかし、なかなか簡単ではない。

一例が「額面株式の一株の金額(券面額)」である。額面株式は、平成13年会社法の改正で廃止された。株式制度は、無額面株式に統一された。平成13年の改正であり、既に、18年経過したが、実際には、未だ「券面額」を基準に株式譲渡を考える方が、存在する。「常識」が優先している。

逆もある。改正された相続法は、令和元年7月1日に施行された。追加された規定の一つが「特別の寄与」制度である。これは、相続人の妻が被相続人(夫の父や母)の療養看護に努めた場合を想定し、それらの者の貢献に配慮するための制度・規定である。「長男の妻の貢献が報われるべき」との「社会常識」を、立法化し、相続をより公平する、との制度である。

しかし、「長男の妻の貢献が報われるべき」との「社会常識」が、現時点で存在するか否か、微妙である。「現在の社会常識」からすると、「特別の寄与」制度は、更なる遺産分割協議の長期化を招来する様な気がする。

ともあれ、「法律の規定」だけでも、「社会常識」だけでも、社会経済は動かない。

現在の経営者に期待される水準は、高くなるばかりである。

健闘を祈ります。

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執筆スペシャリスト

高野 毅
パートナーズプロジェクトグループ
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