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Column

相続法改正の動きについて

令和2年7月10日、いよいよ法務局での自筆遺言の保管制度がスタートします。

私は良い制度だと思いますが、その評価はこれからの運用を見守ることになりそうです。いずれコラムで取り上げさせて頂きたいと思います。

今回は、2年ほど前の公証人時代に書いた相続法改正に関するコラム記事をご覧ください。

 

相続法改正の動きについて

 

先日の新聞で相続法改正の動きが報道されました。
その中に、自筆証書遺言の方式緩和遺言書の保管制度の創設がありました。

方式緩和とは、これまでは全文手書きだったものが、財産の表示はパソコンで作成してよいとしました。財産目録作成は正確さが要求され、手書きというのはハードルの高い作業でした。

遺言書の保管制度は、法務局が自筆証書遺言を保管してくれるというもので、遺言書の紛失、改ざんの恐れがなく、また、これまで面倒くさいといわれていた家庭裁判所の検認手続きも不要で、自筆証書遺言の欠点の多くが解消されるものになります。公正証書のセールスポイントをほとんど奪ってしまうようなひどい改正です。手数料を払ってまで公正証書遺言を作る人は減少し、公証人は路頭に迷うことになりかねません。

でも、私は大変良い改正と思っています。現在、どの程度の人が公正証書遺言を作成しているのか、統計などはないが、東京都内の公証役場での1年間の遺言作成総数は、近年1万9000件程度で、都内の公証人一人当たり約190件になります。ちなみに周辺人口100万人と言われる町田では、年間約600件作っています。すべての人が一生(仮に100歳とする)に1回遺言を書くとしたら、都内人口約1370万人、1年あたり13万7000件、公証人1人当たり年間1370件(現在の7.2倍)という途方もない数になります。

遺言の必要性は今後ますます増加するはずです。誰でもが遺言を作成できるよう制度設計をすることは大切なことです。遺言があれば避けられる相続争いがなくなれば、世の不幸も裁判所の負担も軽減されます。

今後増加するのは財産額がそれほどでもなく、円満な家庭の普通の人たちの遺言です。特に、子供のいない夫婦で配偶者に全部相続させる、親が子供に均等相続させるといった遺言の場合は、自筆証書をお勧めします。

公証人の主要な顧客である富裕層も自筆にするかも知れませんが、遺言を作成する人のすそ野が広がることで、これまで公正証書遺言を考えなかった人も、遺言作成を考えるようになるでしょう。その需要喚起効果を期待しています。

 

 

執筆スペシャリスト

加澤 正樹
パートナーズプロジェクトグループ
高野・星野法律事務所
加澤 正樹
弁護士としては新人ですが、検事として約33年(全国各地の地方検察庁、法務省入国管理局、法務総合研究所、最高検察庁)、公証人として10年の実務経験をもっています。 刑事事件は、最も得意とする分野の筈ですが、刑事弁護人としての力量は未知数というか、期待しないでください。また、入国管理行政に2年間携わっており、この方面の専門的知識を有しています。 最近10年間の東京での公証人生活で、約5000件の公正証書遺言を作成した経験から相続問題に関心があり、特に、今年7月から始まる「法務局における遺言書の保管等に関する法律」の普及に関心を持っています。

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