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コロナ禍による役員報酬の減額について

Q.  中小企業を経営しています。コロナ禍で売上が60%も激減したため、毎月の役員報酬を減額しました。役員報酬は期中に増減できないと聞いていますが、減額した場合の取り扱いについて教えてください。

 

A.
会社が毎月支給する役員報酬は、「定期同額給与」といって、支給時期が決まっており、かつその事業年度の支給額が同額であるものについては、法人税計算上の経費として認められています。特別な事情が無く変更できるのは、事業年度開始から3カ月以内に決定・改定されたものです。役員報酬の期中変更を認めてしまうと、会社の利益調整が行われてしまう可能性があるため、役員報酬は原則、期中の変更が制限されています。

しかし、今回のコロナ禍のように著しく経営状態が悪化し、やむを得ず役員報酬を減額せざるを得ない事情がある場合には、期中変更が認められるケースもあります。
これらのケースについてみていきたいと思います。

 

1.業績悪化改定事由

経営状況が著しく悪化した場合に、経営上の責任を負う目的で、あるいは株主や債権者及び取引先等との信用の維持・確保、従業員の雇用を維持する等の目的で役員報酬を減額することは認められます。これは「業績悪化改定事由」といって、今回のコロナ禍のように突然、営業停止や営業時間短縮によって売上が激減し、経営状況が悪化した場合に、取引銀行との関係等からやむを得ず役員報酬を減額しなければならない状況にある時はその減額が認められます。

 

これはすでに業績悪化している場合はもちろんですが、現状ではまだ売上などが著しく減少していなくても、悪化が見込まれる場合には認められるケースがあります。例えば、すぐに経営改善策を講じなければ、客観的な状況から判断して、今後の経営状況が著しく悪化することが不可避と考えられる場合が該当します。

 

2.期中に支給額を戻した場合

コロナ禍が収束し、売上が回復してきたため、一度減額した役員報酬を事業年度の途中で元の水準に戻した場合はどうなるでしょう。これは他の理由が無ければ認められません。つまり、減額した金額から元に戻した場合、増額した部分は法人税の計算上、経費として認めらないことになります。

 

3.二度目の減額改定は

これから第2波や他の自然災害が来る可能性もあります。一度減額した後に更にもう一度減額することは、認められるのか気になるところです。これについては、今後更なる環境の悪化が生じてやむを得ない状況が発生した場合であれば、再度、業績悪化改定事由に該当し、認められるケースがあると思われます。

 

4.職務内容の重大な変更

役員報酬の変更は「職務上の地位の変更、その役員の職務内容の重大な変更等」の場合も認められます。例えば、店舗管理業務担当の役員が、コロナ禍で店舗が休業となったため、店舗管理業務が不要となった、あるいは入院や隔離で数カ月業務を行えなくなった等、その役員の職務内容に重大な変更があった場合が該当します。

なお、これらに該当する場合、職務内容が元に戻れば、再度、役員報酬を戻すことも可能です。

 

5.その他注意点

役員報酬の変更は要件が厳しく制限され、「業績悪化改定事由」については少し売上が減ったくらいでは使えないものです。しかし今回は、コロナ禍という未曽有の事態です。基本的には、役員報酬の減額は弾力的な対応がとられると思われます。ただし、減額した際には根拠となる議事録の作成や資料の保管を必ず行うようにしてください。

 

※詳細は税理士にご相談ください。

執筆スペシャリスト

藤井 章雄
パートナーズプロジェクトグループ
一般社団法人相続と遺言の相談センター
藤井 章雄
税理士の藤井章雄です。 相続税相談、相続対策業務、遺言作成業務が得意です。 税理士だけでなく、行政書士、ファイナンシャルプランナーの 資格も有しています。 生前準備、相続対策を行うことにより、 争続にならないお手伝いをいたします。
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