今回はお店の「ウリ」の見つけ方と題して、いくつかのフレームワークをご紹介します。特に小売店や飲食・サービス業といったBtoCビジネスの方向けの内容です。簡単なワークをご用意したので、ぜひペンと紙を片手にお読みいただければ幸いです!
1.マーケティングのおさらい
お店の「ウリ」を考える前に、マーケティングのおさらいを簡単にしましょう。
順番として、
①誰に(ターゲット)→②何を(商品・サービスの提供価値)→③どのように(アプローチ手法)
の順番に考えていきます。
とりわけ「誰に」を考える段階で、ターゲット(理想のお客様)がどんなことを求めているのか、どんなことに悩んでいるのか、どのように購買行動を取るのか、といった顧客理解を深めることが重要です。なぜなら、ターゲットによって打ち出すべき価値、強み、アプローチ手法が大きく変わってくるか
一方で、今の自分たちのお店・会社について見つめ直すことも大切です。自分たちが持っている、あるもの、価値提供できているもの。それがお店の「ウリ」の材料になります。それではお店の「ウリ」を見つけるヒントとして、3つの手法をご紹介します。
2.お店の「ウリ」を見つける3つの方法
①要素/機能/属性
1つ目は自分たちのお店を「要素」「機能」「属性」の3つの切り口で整理する方法です。
「要素」とは、あるものを構成するものです。お店であれば、店舗、看板、商品、スタッフ、陳列、ディスプレイ、パッケージ、設備といった目に見えるものや、サービス、ブランドイメージ、お店の歴史、お客様など無形のものがあげられます。
「機能」とは、あるものを使うことで得られるプラスの効果です。例えば整体院のようなビジネスであれば「腰痛が治る」「肩こりが取れる」といった物理的なものがあります。そこからさらに、「痛みが取れてスッキリした気持ちになる」「仕事のパフォーマンスが上がる」といった精神的・情緒的な効果も忘れてはなりません。メリットやベネフィット、価値という表現を使うこともありますね。
「属性」とは、あるものの性質を表すものです。「早い」「うまい」「安い」「大きい」「小さい」「暖かい」「冷たい」「豪華」「シンプル」など形容詞で表現されることが多いです。お客様からみたお店のイメージなどはここに当てはまることが多そうですね。
「お店の売り・強み」と漠然と考えるよりも、1つ1つ分解することで考えやすくなります。複数の項目に関わることも多いですが、その場合は気にせず両方に書いてしまいましょう。大事なことは書き出してみることです。
②マンダラート
2つ目はマンダラートです。今メジャーリーグで大活躍の大谷翔平選手が、高校生の時に使ったことでも話題になったフレームワークですね!
やり方はとてもシンプルです。9つのマスを書いた紙を用意し、真ん中のキーワードから連想されるものを周りに書き出していきます。そして、その中から1つのキーワードを選び出し、新たな紙の中央に配置して、、、とどんどん書き出していく発想法です。
コツはとにかく埋めきること。①要素/機能/属性で整理したものをさらに深掘りする時にも有効です。お店のスタッフを巻き込みながら、みんなで取り組むことも面白いです。きっと新たな視点が見えてくるはずです。
③お客様に聞く
3つ目はずばり、お客様に聞いてみるという方法です。自分のお店の売り・強み=USP(Unique Selling Proposition)のヒントは、意外とお客様が持っています。ぜひ次の質問をしてみてください。
「どうして、数ある商品の中でうちの商品を選んでくださったのですか?」
ポイントは「数ある〇〇〇〇の中で」とつけることです。複数のお店の選択肢がある中から、「比較して」あなたのお店を選んでくれる理由を探ることができます。注意点としては選ぶ理由をしっかりと深掘りすることです。
仮に「近いから」という答えがあったとしましょう。ある人は「自宅から近い」から「思いついた時に気軽に行ける」こともあれば、別の人は「職場から近い」から「平日の仕事帰りに寄り道できる」のかもしれません。ぜひあなたのお店を選ぶ理由やその背景に至るまで、聞いてみてください。予想もしていない言葉が返ってくるかもしれません。
3.競合との差別化も考えよう
さて、お店の売りや強みのヒントが集まったところで、「これぞ!」という「ウリ」を見定めていくわけです。しかし、お客様はあなたのお店だけを選んでいるわけではありません。忘れてならないのは競合の存在です。
例えば「駅に近い」という強みを活かそうと「駅から徒歩5分の本格居酒屋」と打ち出そうとしたときに「駅から徒歩1分の本格居酒屋」があった場合は、埋もれてしまう可能性があります。
そこで、差別化のポイント=POD(Point of Difference)を考えます。①お客様ニーズがあって、②自店の強みや特徴が活かせて、③競合のお店が提供していない・できていない部分が無いかを見極めることが大事です。現実的には唯一無二の独自性を出したり、競合と圧倒的な差別化を図ることは簡単なことではありません。ですが、「ほかの店とは一味ちがう」「やっぱりこのお店がのココが好き!」と思っていただけるような工夫を凝らしていくことが、ファンを作っていくうえで欠かせないです。
いかがでしたでしょうか。今回はお店の「ウリ」の見つけ方をご紹介いたしました。皆様のお店の魅力づくりの参考になりましたら幸いです。最後までご覧いただききありがとうございました。