コラム

Column

「健全な心配性」でありたい

これまで事業再生や資金繰り支援の仕事を中心にやってきた関係上、経営不振に陥った会社を数多く見させてもらいました。

その経験から経営不振企業には共通点があることがわかりました。以下の様な特徴を御社はお持ちではないですか?

【①どんぶり勘定】
不振企業のほとんどに当てはまります。経営者に細かい会計の知識までは求めませ
せんが、数字には細かくないとやはりダメです。

【②売上だけを追いかけている】
本当に大事なのは、「利益」なのだということがわかっていない。

【③社内の整理整頓ができていない】
上手く行ってない会社ほど、訪問して社内を拝見すると物が散乱しています。

【④経営者の公私混同】
会社は「公器」であるという意識が微塵もない経営者があまりにも多すぎます。

【⑤経営者が「簡単に儲かる」ことばかりを考えている】
本業へのこだわりが弱く、儲かれば何でもいいと考えている。そのため、十分な調査検討もせずに新規事業を始めたり、大きな設備投資を行い、致命傷を負う会社が後を絶たない。

タイトルに関連して「用心深さ」について最近読んだ本の中で面白いものがありましたので、少しだけ紹介したいと思います。

ある文化人類学者がパプア・ニューギニアのジャングルに調査に行ったときのお話です。

数週間にわたる調査ですから、毎晩適当なところを見つけてテントを張るわけですが、ある日、かなり開けた土地で枯れかかった大木の下がよさそうだと考え、同行を頼んだ数人の現地の人にその旨を指示したところ、「絶対にいやだ。そんなところに寝るくらいなら、テントなしで、大木から離れたところに寝る」と全員が言い張ったのだそうです。理由を聞くと、「いつその大木が倒れるかわからないから」というもの。

しかしその学者が見る限り、確かに枯れかかってはいるが、幹自体はしっかりしており、その日は特段、風が強い日でもないので、普通に考えたらとても倒れるようには思われなかったというのです。

でもその後、ジャングルを探検していると、1日に1回くらいの頻度で大きな音を立てて大木が倒れるのを実際に自分の目で見ることとなり、彼らの言い分が正しいことがわかったというのです。
そこでその学者はある考えにたどり着きます。現地の人は我々の半分程度の平均寿命しか生きられません。

栄養状態が悪いのはもちろんですが、危険動物に襲われたり、部族間の紛争等で、ケガ等を負う場合が非常に多い。
しかし医療機関があるわけでもなく、抗生物質のような薬もないことから、ちょっとしたケガや病気で命を落とす危険性が大きいことから、非常に注意深くならざるを得ないのだと。

中小企業の経営は、ジャングルでのサバイバルと同じではないでしょうか?
失敗すれば全てを失うのです。注意深過ぎるということは決してないと考えますがいかがかでしょうか?

 

◆講師プロフィール◆
パートナーズプロジェクト税理士法人
公認会計士・税理士 松田 敏之

<得意分野>
・資金調達(特に創業融資) ・事業再生 ・資金繰り支援(金融調整含む)
・事業計画書作成(数値計画からアクションプランまで)
・資金繰り表作成(作成方法の指導も) ・補助金/助成金申請

↓詳しい講師プロフィールはこちらから↓

https://san-niigata.com/author/san0113/

執筆スペシャリスト

松田敏之
パートナーズプロジェクトグループ
パートナーズプロジェクト税理士法人
松田敏之
監査法人で通算14年勤務した後、新潟県再生支援協議会に移り、多くの企業再生の案件に携わりました。その後、新潟市内の税理士法人で、資金調達や資金繰り支援、企業再生の仕事を7年に渡り経験いたしました。その間、100件近い創業融資と50件近い再生案件の実績があります。まずはお気軽にお声がけください。仕事は早いです。
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