コラム

Column

債務整理について

2024.10.17

1 はじめに

最近はテレビのCMでも自己破産を紹介していることもあり、ほとんどの人が自己破産のことを知っていると思います。ただ、自己破産は債務整理の一つにすぎず、状況によっては自己破産より他の手続が望ましい場合があります。

今回は、債務整理の各手続についてメリットやデメリットを踏まえて紹介したいと思います。

 

2 債務整理の各手続について

(1)任意整理

利息や遅延損害金の減額・免除、支払回数の変更について債権者と交渉することで、毎月の返済の負担を減らす手続です。

債権者との間で払いすぎた利息があった場合、払いすぎた利息分を元本に充当することで返済額を減らうすことができます。また、元本を超えて利息を払いすぎている場合は、過払い金を請求できる可能性があります。

<メリット>

・交渉する債権者を選択することができる。

・官報に載らない

・裁判所に提出する書類がないので、家族などに知られる可能性が低い。

<デメリット>

・元本そのものの減額は難しいので、債務の大幅な減額は難しい。

・債権者が合意しなければ、手続を利用することができない。

 

(2)個人再生

裁判所に個人再生の申立てをし、再生計画の認可決定を受けることにより、住宅などの財産等を維持したまま、減額された借金を3年から5年で返済する手続です。

<メリット>

・利息や遅延損害金のみならず、債務の元本を一部減らすことができる。

・住宅や車などの高額な財産を残すことができる。

・ギャンブルや浪費などの事由があっても、手続を利用することができる。

<デメリット>

・一部の債権者を手続から除外することはできない。

・家計内容を裁判所に報告するので、家族に内緒にすることが困難。

・信用情報に載るので、約7年間は新たな借入れをすることが困難。

・住所氏名が官報に掲載される。

 

(3)自己破産

裁判所に自己破産を申し立て、債務の全額免除(一部を除く)を認めてもらう手続です。

<メリット>

・債務の全額免除が認められるので、他の手続より債務減免効果が大きい。

・無職や生活保護等、返済が困難な状態でも手続を利用することができる。

・一部の財産(現金、預貯金、車など)を手元に残すことができる。

<デメリット>

・一部の債権者を除外して手続をすることはできない。

・家計内容を裁判所に報告するので、家族に内緒にすることが困難。

・信用情報に載るので、約7年間は新たな借入れをすることが困難。

・住所氏名が官報に掲載される。

 

3 おわりに

債務整理の各手続内容について説明しましたが、大まかにいえば、現在も返済することができているが毎月の返済額を減らしたい人は「債務整理」、自宅を残したまま毎月の返済額を減らしたい人は「個人再生」、返済することが困難な人は「自己破産」と分類することができます。

カード等は計画的に利用するのが一番ですが、もしものときのために、手続の存在を知っていただければと思います。

執筆スペシャリスト

中野 香奈子
弁護士法人青山法律事務所
中野 香奈子
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