コラム

Column

遺産の行方

自分が先祖から引き継いだ土地建物や、長い期間をかけて働いて貯めた金融資産など自分の財産は、子どもや孫など次世代に引き継がれていって欲しいと思うのが人情だろう。うまく引き継がれていけば良いが、残念なことになるケースもありえる。相続する権利がある相続人は民法で決められているのだが、相続人がいなかったり、いても相続人の間でもめてしまったりというケースである。自分の意志を残すのであれば、生前に贈与をしたり、遺言書を書いたり、寄付先を決めておいたり、信託を検討したりなど終活を考えておく必要がありそうだ。ただし、「先祖伝来の土地は決して売っていけない」というような縛りがあるものはかえって迷惑になる。

 

  • 相続人がいない

もし相続人がいないとその人の財産はどうなるのだろうか?遺言書があってお世話になった方への遺贈や、寄付先の指定があればその通りになる。しかし遺言書がない場合はそのまま放置される可能性がある。もし縁故者の方や、債務者などから相続財産管理人の選任の申し立てが裁判所に行われた場合には、相続財産管理人を経て換金手続きがされ残額は国庫に入ることになる。近年は国庫に入る相続財産額が年間400億円を超える程に拡大しているという。そんな状況からか、寄付を求める公的団体の広告も増えているように感じる。今後は未婚率の上昇と出生率の低下により相続人がいないケースが増えてくると思われるから心配である。もし、お世話になった方や自分の思いがある団体があるならば自分の意志を残しておいた方がよさそうだ。いや、そもそも先ずは自分自身の為に使うことをお勧めしたい。しかし、元気なうちは将来の生活費が心配でなかなか使えないし、健康を害してからは使いたくても使えない状況になるのかもしれない。

 

  • 遺言が変わる

遺言は、自筆証書遺言であれば全てを自筆で書かなくてはならないため、財産件数が多い場合には記載が大変だった。こちらは2019年からすでに改正になっており財産目録についてはパソコンなどで作成が可能となった。高齢な方がやっと書く姿を見ているので、もっと早く改正できなかったのかと感じる。また、自筆証書遺言は紛失や偽造などが課題であったが、法務局で保管する制度が2020年7月からスタートするため安心になる。さらに法務局に預けた場合には死亡後の家庭裁判所での検認という面倒な手続きがいらなくなるというメリットもある。これからは、一般的な遺言は「自筆で法務局保管」とし、トラブルが予想される場合や、財産額が多額な場合は「公正証書遺言を利用する」などの使い分けがされていくのではないだろうか。

さて、改正をきっかけに終活として自分自身の想いと財産の行方を考えてみてはいかがでしょうか。

遺言は書き換えられるので、認知症になって書けなくなる前に準備しておくことをお勧めします。

 

執筆スペシャリスト

藤井 英雄
パートナーズプロジェクトグループ
パートナーズプロジェクト税理士法人
藤井 英雄
税理士の藤井英雄です。 事業承継支援、起業・創業支援、相続・贈与相談等が得意。 常にバランス感覚を持ってお客様と接することを大事にしています。 多角的な視点での提案をさせていただきます。 経営相談はお任せください。
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