コラム

Column

契約書の見方

2024.04.22

今回は「契約書の見方」をテーマに話をしたいと思います。

1 契約は口頭でも成立する
これまでの取引の中でも、契約書を作らずに取引を開始し無事終了したことは何度もあるかと思います。このように契約書が無くても口頭で契約は成立します。
では、なぜ契約書が必要なのかというと、取引上トラブルが生じたときに契約書の内容に意味が出てくるからです。契約書がなければ、トラブルが生じたときは民法・商法等に従って判断されますが、契約書があれば基本的には契約書の内容により判断されることになります。

2 契約書を作る(見る)際の視点
契約書を作る(見る)際の大きな視点として、取引上の優位性の有無という視点があります。交渉上、自分に優位性があるか、相手に優位性があるか。つまり、交渉において自分の方でイニシアチブを取れるか、取れないか、といった視点です。

3 取引上の優位性がこちらにある場合の契約書の位置付け・見方
取引上の優位性が自分にある場合は、契約書は積極的に作るべきです。
民法等の規定ですと一般的かつ公平な規定となっており、個別具体的な場面を想定して詰められた規定とはなっていません。なので、契約書を作っていないと、トラブルが生じた場合、こちらが思っている結論にならない場合が出てきます。
そこで、取引上の優位性がある場合には、積極的に契約書を作成し、トラブルになった場合に自分の優位に事が進むようにしておくべきといえます。
ただ、弱者保護を目的とする労働基準法等の法律や会社間の公正な取引等の実現を目的とする独禁法や下請法といった法律により、契約内容が修正されたり規制されたりする場面があるので注意が必要です。この辺は専門的な話となるので深堀りしませんが、このような要素があることだけ頭に入れておいていただければいいかと思います。
契約書を作るにあたっては、実際に取引した場合に想定できるトラブルを自分なりに想像することが重要となります。実際の取引でトラブルになりそうな所を想像し、希望する解決法を想定して契約書の文言を作っていく。この辺は地味な作業ですが、契約書作成において重要なポイントになります。

4 取引上の優位性が相手にある場合の契約書の位置付け・見方
逆に、自分の方が取引上弱い立場にある場合は、相手側から契約書を作成して欲しいと言ってこなければ契約書を作る必要はないと思います。なぜなら、契約書を作ることになったら、取引上優位性のある相手の都合のいいように文言が決められることが想定できるからです。
では、相手から契約書を作りたいと言って契約書を渡されたらどうしたらいいでしょうか。
劣位な立場であると、言える事と言えない事があると思いますし、今後の取引の関係もあるので、何処まで言うかは経営判断になるとは思います。
ただ、最低限、当たり前のことかもしれませんが、「分からない部分は質問をする」ということが重要です。よく分からない文言は、説明を受けた上で、分かりやすい文言に変えてもらう。よく理解できない部分は、こちらが想定していない負担が入れられている可能性もあり、それが想定外のリスクにもなりますので、出来るだけ質問の上内容を明確にしてもらう。このようなことが重要かと思います。
リスクを把握しないまま取引を始めるのと、リスクを把握し承知した上で取引を始めるのでは、トラブルになった際の対応が変わってきますので、最低限この点は注意されるといいのかと思います。

少し分かりにくい話だったかもしれませんが、今後契約書を作るか否かや、契約書の内容のチェックの際の視点として、お役に立てていただけたら幸いです。

 

◆講師プロフィール◆

弁護士法人北辰法律事務所
齋藤 貴介

得意分野
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・企業側からみた労務対策
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