社長という職業に憧れを持つ人が減っているように感じる。経営環境は厳しくなっており、よほど自信のある人か、思いっきりプラス思考の人でないと起業できないようだ。創業者ではなく2代目など後継者にもその傾向がみられる。一昔前までは、代々商売をしてきた家系では長男が後を継ぐことが当たりであった。しかし今は、子どもが親の後を継いでくれるのは幸せなケースであると言える。息子が継ぐ意思がないと嘆く社長もいるが、一方で苦労させてしまうから継がせたくないという社長もおり、心境は複雑だ。
- あぶり出し
事業の承継には数年間を要するが、後継者を選定中なのか?育成中なのか?交代の準備段階なのか?交代直後なのか?社長交代は完了し株の移動中か?その過程で社内の課題が浮かびあがってくる。減価償却の不足や不良債権、不良在庫など数値面に隠れた問題だけではなく、人的な問題も多い。先代のワンマン社長の時代には口にできなかった不満が、話しやすい後継者になった途端に噴出することもあるからだ。良き風習も悪しき慣習も見えてくるのだ。そのような意味では生まれ変わるチャンスでもある。
- 後継者の覚悟
子供が後を継がない理由は、家業の将来性を不安視する意見が最も多く、次の理由は自分自身には経営者としての資質がないと感じていることである。特に現社長のカリスマ性が高いほど後継者は辛い立場になる。現社長の親族が優秀とは限らないが、優秀な部長が良い社長になれるとも限らない。役割が違うから比較できないのだ。しかし、経営者としてやって行けるかどうかは、小規模企業であれば、個人の能力よりも当人の意識と覚悟の方が重要である。地元新潟の中小企業は7割以上が10人未満であるわけだから、後継者の覚悟次第という事になる。
- 個人保証
後継者にとって、借入金の個人保証が重いリスクとして認識されている。創業者であれば自分で始めた事業なので当たり前と感じるのだろうが、後継者とその家族にはそこまでの覚悟が難しい。まして、従業員は高齢化し、設備も老朽化しているとなればなおさらだ。但し、借入金の経営者保証については、経営者保証に関するガイドラインも整備され、さらに事業承継時には、経営者保証について一定条件を満たせば保証を免除するという方針が、政府から打ち出されている。今後どのようになるかは不透明だが、後継者にとっては朗報と言える。
- 現社長の覚悟
日々忙しいという理由から事業承継はどうしても後回しになりがちだ。着手しなくても会社は回っており、むしろそのままの役割分担の方が安定しているからだ。だからきっかけが必要となってくる。多くの社長は口では早く譲りたいというが、実際には譲る覚悟ができない方が多い。特に創業社長は会社への思いが強いので当然なのだが、これが強すぎると承継がうまくいかない。気になって我慢しきれず口を出し過ぎたり、後継者がやり方を変えると、自分のやってきたことを否定されたように感じたりするからだ。
思い切って任せる覚悟が必要ではないかと思うのです。
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